平安時代と仏教と空海像を破壊された本【沙門空海唐の国にて鬼と宴す】
- 書名:沙門空海唐の国にて鬼と宴す
- 出版社:角川文庫
- 発売日:2011/10/25
遣唐使として唐に渡った空海の物語。全4巻。
主人公空海の隣には橘逸勢。
登場人物がコンビでストーリーを展開していくのは、陰陽師シリーズと同様。
好き嫌いは分かれるかもしれないが、フォーマットとして安心して読むことができる。
空海の印象
仏教というものを宗教としてしか印象がなかったし、空海は歴史の教科書に出てくる人物として、もしくは弘法大師として伝説がたくさん残っている人としてしか印象になかった。
それをこの本で一気に破壊された。
ストーリーとしては遣唐使として派遣された空海と橘逸勢が玄宗皇帝と楊貴妃の話に関わっていくことになる。
物語の中の空海は、語学者として天才的であり、詩人、学者として天才的であり、酒も喰らうように決して聖人的ではなく俗物的なところもあり。
なんていうのか、エネルギーの固まりみたいな人物。
当時の状況を考えれば、たしかに仏教は今日考えるような宗教ではなく、最先端の学問のひとつであり、宗教というより哲学、人間学に近いものかもしれない。
その中でも最先端の密教を自分のものにするため、唐語のみならず梵字まで勉強する空海。
Webをやっててもついつい日本語のリファレンスをさがしてしまうこちらとは大違い。
そんな空海が主人公なので、全4巻一気呵成に読み切った記憶がある。
陰陽師のシリーズが静なら、こちらは動の物語。
呪法、妖が出てくるのはもちろん、空海や橘逸勢の訪れた遣唐使の他にもそちらにいた他の日本人や当時の中国の世界観とそこに暮らした遣唐使の話としてもおもしろい。
しかし安倍晴明にせよ、空海にせよ、平安時代っておもしろい。『鬼灯の冷徹』の小野篁も平安貴族だし。
夢枕獏さんの本の中にも小野篁が出てるのがありますよ。
だからこちらも読みました
この本のおかげで、空海のことを書いた小説に目が行くようになり、司馬遼太郎さんの『空海の風景』。
※画像は下巻ですが上巻へリンクしています。
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