就活生聖の悩みと茶屋の餅を思い出したこと【さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿】

  • 書名:さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿
  • 著者:畠中恵
  • 出版社:新潮文庫
  • 発売日:2016/6/26
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この本を読み始めた時には参院選が終わっていて、もうすぐ都知事選が始まるところ。
アメリカでは大統領選があり、イギリスでは国民投票でEU脱退が決まった。
選挙関係の話は毎日のようにニュースでやっている。

畠中恵さんは『しゃばけ』シリーズから読み始めて文庫化されたものはだいたい読んだと思うけど、本作は『アコギなのかリッパなのか』の続き、佐倉聖の事件簿シリーズ2冊目となる。『アコギなのかリッパなのか』が出た時は畠中さんが現代ものを書くということでビックリしたけど、それでさらに選挙事務所という特殊な環境という設定がおもしろい。
やっぱりどうしても『しゃばけ』のイメージが強くて、江戸時代のイメージがあったから。明治ものも書かれているけど、こっちは江戸時代の延長ということで、比較的すんなり入りやすいが、現代ものもよい。
事件簿シリーズだが人死が出るわけではないし、登場人物の会話にユーモアがってテンポ良く読み進めることができる。
各章はひとつひとつ独立していて、なおかつ全部で一冊のストーリーとなっている。

主人公の弟で中学生の拓はメールもするしLINEもする。送り先は年上の大人だけれども、彼、彼女たちももちろん使っている。
もうまるっきり「今」の話なのだ。
今回は聖の就職活動にまつわる話。コネなんてものとは生まれてこのかた一切縁のないこちらからすると、気遣いが大変なような、羨ましいような気分だった。
拓の教育費と生活費を稼ぐことを就活の目的として考えている聖は安定路線を選択しようとするが、周りの大人や拓からはそれがどのように見えるのか。
拓のお金の問題が解決したときに、誰かを養うことは自分の居場所を与えてくれることと気がつく聖は、そのときに自分の進路をどのように決めるのか。
自分が学生だった時のことを考えると、自分が将来何をやりたいかってなかなかわからなかった。
そのとき目の前にあった続けてきたことに一生懸命だったけど、そのことを将来の仕事にする方法は思いつかなかったし、結局それとは関係ない仕事をしている。

今回は仕事のできる大喰らい秘書の真木の乙女っぷりがなかなか可愛らしい。
大堂先生はご隠居の好々爺というにはアクが強いのは相変わらず。
政治家の世界がこんな所ばかりだったら、みんなもっと興味を持てるのにね。

さて自分の中の政治家像に影響を与えたものを考えると、案外『銀河英雄伝説』のヨブ・トリューニヒト氏なんじゃなかろうかと思う。
加納先生がトリューニヒトになれるかどうかはさておき、甘党としては大堂先生には羊羹をおいしく召し上がっていただきたいものだ。
したら大堂先生はずぼらなシェーンコップだろうか?
しかし、一口サイズのお菓子をブログ記事にするって発想は、あるなぁ。

一口サイズの和菓子と言えば、ラグノオの「茶屋の餅」がおすすめ。
きな粉をまぶしたくるみ餅。自分用のお土産によく買って帰る。

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