冬の立山で戦国武将は何を見たのか【沙羅沙羅越え】

  • 書名:沙羅沙羅越え
  • 著者:風野真知雄
  • 出版社:角川文庫
  • 発売日:2016/4/23
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佐々成政のイメージって「花の慶次」に出てきた時のイメージしかなくて、実際にどういうことをした人なのかよくわかってなかった。
この話は、越中富山城主時代の成政の話。
お隣の前田利家が秀吉の命で攻めてくるところに、秀吉との戦いを継続した成政が冬の立山を越えて家康に合いにいくお話です。

冬山を越えるということ

立山って好きなんですよね。昔は部活の遠征なんかでよく北陸道使ってたから、通るたびにかっこいいなぁと。
曇ってたりなかなかお姿を見られないことも多いですが。
地元が映画にもなった雪中行軍の八甲田山の麓なので、冬の立山越えていこうなんて言うのは、よっぽどの覚悟と装備と条件が必要だったんじゃないかと思う。

八甲田雪中行軍遭難事件(はっこうだせっちゅうこうぐんそうなんじけん)は、1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であるとともに近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。
Wikipedia 八甲田雪中行軍遭難事件より

自然の荘厳さと人間の想い

大物どころでは、秀吉、利家、成政、家康、本多正信あたり出ています。
秀吉の鬱屈、利家との旧友、家康や正信の理解など、成政の一本気なところに感じる男たちです。

冬山の描写、容赦のなさや荘厳さ。
やっぱり人為を越えた自然の凄さっていうものの前には、人間がいかに無力かわかりますね。
成政がその自然の荘厳さの中にいる時に、下界では思惑と陰謀が渦巻いていることに少し滑稽味があるよなぁ。
成政は立山の雪の中で何を見てしまったんだろう。

ラストのシーンは凄かったな。秀吉の鬱屈と優しさというか思いが見えた気がして。
それに対する成政の晴れやかさというか静けさというか。
著者の作品は「隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動」のクジラの姿焼きって言葉に引かれて読んだのがはじめ。
江戸時代だけじゃなくて、この辺りの時代も書くんですね。

写真は雪の青森市
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