やぶ医薄斎は藪医者なのか?【やぶ医薄斎】

  • 書名:やぶ医薄斎
  • 著者:幡大介
  • 出版社:角川文庫
  • 発売日:2016/3/25
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時代設定は江戸時代。九代将軍家重の時代。

本書の主人公冴えないのである。
名前は枯田薄斎。まずいきなり名前に悪意を感じる(笑)
見た目は冴えない中年。酒癖が悪くて(大言壮語・飲みたがり)、卑屈で(自分が医師としてレベルが低いことへの自覚)、貧乏でボロい家に住んでいる。
空気は読めず、自分の絵心になぜか絶大な自信を持っている。

が、まず健康である。ちょっとやそっとのトラブルでは怪我もなければ病気もしない。
さらに正直である。腹蔵がない。何でもかんでも正直であることが良いかどうかは別にしても。
実はいいヤツなんじゃないかと思う。自分の友達に欲しいかどうかはさておき。

さてこの主人公、医師ではあるが本当に藪医者なのか?
外科手術のシーンはない、難病奇病を発見もしない。
自分よりよい医者を探せなんて言い出す。
薬の調合はできるらしい。
この男偉い人には存外好かれる。(中途半端に偉い人には凄く嫌われる)
しかし病人の顔色を見、話を聞くことで、具合が悪くなる原因を当て、”まっすぐ”な謎の健康法をすすめ、無理矢理実践させる。
ところが案外その言ってることは至極まっとうなのだ。
肥満の人間には運動を勧め、悩みを抱えた人間の話を聞いてアドバイスをし、治療された人間が(効く人限定)治療されていっているように見える。現代ならちょっとした心療内科かカウンセラーでやっていけるんじゃなかろうか。
お江戸のストレス社会にこの迷医ありなのかもしれない。

そんな薄斎が、周囲の勝手な勘違いに巻き込まれ、自分でも振り回しストーリーが展開されていく。
もうこの徹頭徹尾勘違いだらけのお話をまとめあげる腕力は凄まじい。
大きな陰謀の中で剣術と忍術が繰り広げられるなか、
最後に薄斎の隠れた特技が発揮されて・・・

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