ずっと読んでます。陰陽師シリーズのガイドブック?【 『陰陽師』のすべて】

  • 書名: 『陰陽師』のすべて
  • 著者:夢枕獏
  • 出版社:文春文庫
  • 発売日:2016/6/10
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最初に「陰陽師」を読んだのは学生の頃。
ちょうど映画が公開になる少し前くらいで、世の中に陰陽師ブームが来始めてた頃かなぁ。
とても仲の良かった先輩のオススメで。流行ものは何となく敬遠することが多いんだけど、普段あんまり本を読まないイメージのあった先輩からのススメで読んでみることにしたのであった。
この本はその「陰陽師」の解説本みたいな感じかな。

豪華な陣容

しかし本書、出て来る人がことごとく豪華である。
荒俣宏さん、岡野玲子さん、京極夏彦さん、それと夢枕獏さんの陰陽師対談とか、もう凄い凄いって感じですよね。
村上豊の挿絵の話とか。
狂言師野村萬斎さんの「陰陽師Ⅱ」の時のお話や市川染五郎さんとの対談もあるし。
そういう人たちがみんな陰陽師について話してるわけで。

過去の話の概要を網羅

これはとてもありがたい。(作者も重宝しているとおっしゃっている)
長いこと続いているシリーズで、大昔に読んだのがどの本だったか、曖昧になってたりしたから。
久しぶりに読みたいなぁと思った時に必死に探してたからなぁ。
まぁ、その本も引越しの時の関係で未だに段ボール箱の山の中から救出できてないんだが(汗)

僕が陰陽師の好きなとこ

ひとつはあの形式美というか、フォーマットの安定感というか。
清明と博雅の関係性、季節の庭で酒を飲んでいる2人の会話から始まるエピソード。
その空気感が好きです。
「行こう」
「行こう」
そういうことになった。
ってあれです。
30年だってよ。
30年続く、安心安定のフォーマットとコンビ。

まだ読んだことない方は、一番初めの「陰陽師」と最新の「陰陽師 蒼猴ノ巻」を読み比べていただけたら良い。


いや、違うな。シリーズのどこからでも読み始めてみたらいいと思う。
どこから読んでも、戻っていっても、進んでいっても安心して楽しめると思うし、そこには「陰陽師」シリーズとしてのフォーマットとキャラクターたちの変わらない姿があると思う。

それから、読んだ感じが凄くきれい。
季節の風景だけじゃなくて、音の描写や雰囲気の感じが。
嫋嫋となる琵琶。獏さんだったら、津軽三味線とかどう文字にするんだろう?
かなりグロテスクな場面も出てくる。人が喰われたりね。書く人によってはとてもおどろおどろしくなるような。でも、ホラーって感じはしないんだよなぁ。もちろん登場人物たちのキャラクターっていうのも大きいんだけど、森博嗣さんの無機質で硬質な感じではなくて、もののあはれ、っていう感じかな。うまくいえないんですが。

この本はガイド本なのか?

では本書が陰陽師シリーズのガイドになるのか?ガイドというのはツアーガイド的な意味で。
もちろん、陰陽師シリーズを読んだことがない人が読んでも楽しいと思う。
でも、一度シリーズを読んだ人のほうがおもしろいかもしれない。そういう意味ではガイドブックというよりファンブックって感じ。
小説でしか読んでこなかった僕みたいな人間からすると、小説以外の、映画や歌舞伎、音楽の世界の陰陽師シリーズの世界が見られておもしろかったから。

きっとこのシリーズはずっと読んでいくシリーズだと思う。
この本と同時に陰陽師 蒼猴ノ巻が出ていて、本屋さんで並べて置いてあったからまんまと買ってきたけど、著者曰く死ぬまで書き続けるとのことだから、もう100年くらい頑張っていただいて、ずっと読み続けたいシリーズなのである。

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