世界は螺旋に進んでようやく虚空牙にたどり着く【螺旋のエンペロイダー Spin4. 】

  • 書名:螺旋のエンペロイダー Spin4.
  • 著者:上遠野浩平
  • 出版社:電撃文庫
  • 発売日:2017/1/10
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上遠野さんのシリーズは他のシリーズと同じ世界観の中で並行も絡まっているのだが、本作で虚空牙の「ナイトウォッチシリーズ」と直通でつながったような気がする。
「ナイトウォッチシリーズ」の1作目「ぼくらは虚空に夜を視る」が発売されたのが2000年。
ここまで来るのに15年以上かかったことを考えると感慨深い。
ライトノベルっていう括りだけどライトノベルって言われるものの今の定義がどうなっているのかよく分からない。昔ライトノベルって言ったらロードス島戦記とかルナル・サーガとか、結構硬派なファンタジーのイメージがあったんだけどなぁ。やわらか系ならフォーチュンクエストとかね。
ここで言いたいのは、ライトノベルがどうっていうことじゃなくて、ライトノベルの括りだからこの本含め、上遠野さんの本を読まないのはすごくもったいないと思うっていうこと。
まぁ自分は単純に上遠野さんの本はやっぱり好きなのでこれからも読んでいくんじゃないかなぁ。

ぼくらは虚空に夜を視る (星海社文庫)

統和機構って

ブギーポップシリーズではまるで悪の組織のように始まった統和機構も、ストーリーが進むにつれてなんだか中身がゴタゴタ、まったくもって1枚岩ではないことは各シリーズでもわかっていたことだけど、さてそもそもなんのために統和機構が作られたのか、本作にもちょっと出てくる。
平穏な世界の裏側にいる統和機構と、通常の人間ではありえない能力を持った人々。
その中にも結局能力には優劣があって。
結局のところ自分が思っている自分ってやつがどれだけ確かなもので、どれが当たってるんだか当たってないんだかなんてのはイマイチよく分からなくて、延々と同じところをぐるぐるしているような気分になるのは今も昔も変わってないし、上遠野さんの本の登場人物に惹かれたりもするし。
虚宇介くらい飄々とできたらいいなぁとか、虚宇介って宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を地でいっちゃってるんじゃないかとか思ったりするわけで。

世界は螺旋に進む

時間は直線に進むのか、それとも円環をなすのか?
時間は一定の方向に向かって直線的に進んでいるのか、それとも歴史なんていうのは長いスパンでみたら似たようなことの繰り返しで、結局円状になっているのじゃないか。そうすれば輪廻なんてのもしっくりくるし。
昔考えたちょっとした謎だったのだけれど、じゃあ両方混ぜたらどうなるかっていうと、螺旋になるんじゃないかと。ぐるぐる渦を巻きながら進化だか退化だか、とにかくどこかに向かっているもんなんじゃないかと思った時には、なんだかすごい発見をしてしまった気分になった。
そんなのももうそれこそ15年以上前の話だが。

それでこれは「螺旋のエンペロイダー」なのである。
フォルテッシモは相変わらず「最強」で、そのくせ本作中にまた進化したりする。
結局世界の皇帝エンペロイダーは誰なのか。
妹そらにやられっぱなしの虚宇介はどうなってしまうのか?
甚八郎と虚宇介がまるで高校生のような一面を見せるシーンが、なんだか全体の中でちょっと異質に爽やかです。

ブギーポップは笑わない<ブギーポップ> (電撃文庫)

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