さて幽霊は何匹でてきたのでしょうか【おちゃっぴい 大江戸八百八】

  • 書名:おちゃっぴい 大江戸八百八
  • 著者:堀川アサコ
  • 出版社:講談社文庫
  • 発売日:2016/11/15
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幻想郵便局で好きになった堀川アサコさんの江戸の町を舞台にした物語。
謎めいた彫師の青治、剣術道場師範代の蕎麦好きの巴、十手持ちの桃助の3人は幼馴染。
青治に片想いする巴、巴に片想いの桃助。
幼地味3人が江戸の暮らしで巻き込まれる、たまには自分から首を突っ込む事件が揃った短編が5つ。
青治の足元に舞う黒い蝶の影と青治の出生の秘密。

おちゃっぴいとは

(女の子が)おしゃべりで活発で,茶目っ気のあるさま。また,そのような女の子。
おちゃっぴいとは – 日本語表現辞典 Weblio辞書より引用

ということは、この物語の1番の主人公は巴になるのかな?
事件あり、幽霊あり、ドキドキもゾクゾクもほっこりも、盛りだくさんな物語。

幽霊は何匹?

幽霊話に幽霊が出てくるとは限らない。
京極夏彦さんの本には実は幽霊は実体を持った存在としては出てこないじゃないですか?
じゃあ、堀川さんのこの作品はどうかというと、ちょっとややこしい。
いたりいなかったり、どれが本物の霊でどれが幽霊の噂か、なかな入り組んでいるのだ。
さて全ての短編を合わせて本物の幽霊は何匹でてきたか?

すーぱーお駒さん

泥棒宿のお駒さん。
巫女家業もしており、降霊術も使える。
ちょいと先のことがわかったり預言者だったりもする。
泥棒宿だけど、自分が泥棒なわけじゃない。
身軽に夜鷹の舟に飛び乗ってみせる。いたこもできる。
なんだかんだでよく分からないスーパーな婆ちゃん。

津軽弁のこと

遊女と遊んでは失敗を繰り返し青治の世話になる、津軽藩士の福士の話す津軽弁。福士ってきっと青森に多い苗字なんだよな。
なんかちゃんとした津軽弁だな、と思った。
何がちゃんと正しいのかわからないんだけど。言葉がちゃんと肉体を伴っているというか。
妙にそれが嬉しかったのです。

方言を使った文章っていうのは、地域を表す上でよく使われると思うのだけれど、実際にその地域で生の方言に触れたことがある人でないと、現地の人間から見たときにちょっと違和感のある文章になることが多い。ドラマとかでも一緒かな。
方言使う方も考えてしゃべっているわけじゃない(方言を。普通にしゃべればそうなる)ので、具体的に発音がどうとか、シュチュエーションがどうとか考えるとよくわからなくなるのだけど、だからこううまく文章の中に根付いているとちょっと嬉しい気持ちになったりする。

ちなみに「しゃべる」っていう言葉は標準語かもしれないけど、「話す」というところをほとんど「しゃべる」っていうのも実は方言なんじゃないかって思っている。

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